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記憶喪失霧ちゃん その3

4.
 さて。
霧風が大人しい女の子になってから初めての任務が入った…らしい。
本陣では小龍が朝から総帥に向かって何事か喚いていた。

「だから!なぜ頭の回路が切れた霧風と一緒なんですか!!」

「頭の回路が切れたとは何事か!あいつはしっかりしているぞ!」

「でもオカマじゃないですか!あれでは本当に女じゃないですか!ミスターレディですよ!」

「今はな…でも,今回は『それ』がかなり好都合なのだ。」
 
 小龍は(今の)霧風と仕事をするのがどうしても嫌らしい。
それは竜魔と同じく,普段のきびきびしたクールな霧風を良く知っているからであった。
霧風の姿をした別人と付き合うようなことはとても出来ない,信頼できない,というのが彼の言い分である。

「霧風じゃない霧風なんかとオレは仕事したくありませんっ!羽が鈍る!」

総帥は,語気を荒げながら言い放った。

「っこの〜!上等じゃねえか!じゃ,霧風入って来い!ほら,こいつのここまで徹底した様を見ても小龍,お前はまだそんなことを言うのか!?一緒に行かないというのか!」

総帥に呼ばれ部屋の奥から霧風がそそ,と出てきた。

「!」

顔を上げた小龍が絶句する。
そこには,セーラー服姿のうら若い乙女が立っていたのである。

「き,り,り…。」

言葉が続かない。

「霧風です。そんな清涼飲料水のような名ではありません。」

小龍の隣に優雅に座ると霧風は手を突いた。

「謹んで今回のご任務,お引き受けいたします。」

小龍はあっけにとられ…そして,にんまり,と笑みを浮かべた。
このとき小龍の頭の中では…。

霧風=セーラー服=似合う=しかも女!

=女と仕事で一緒= こんなこと二度とないかもしれないぜ!オレ!

「頑張ります!」

さっきまでとは全く異なる良い返事に総帥は思わず噴出した。


セーラー服姿の霧風と小龍が並んで外に出るのを偶然見かけた輩が冷やかす。

「デートかあ?」

琳彪である。

「うん!霧風とデートしてくる!」

爽やかな明るい声で返す小龍に琳彪は拍子抜けした。

「…。」

若いカップル?を見送った彼はため息をついてぼやく。

「畜生…いいなあ。オレもああいう話来ないもんかな。」

本音である…。


 ヘビの一件以来,どうも霧風が苦手となっている竜魔もこの初々しい二人とばったり出会ってしまった。

「小龍さん,腕を組まないと恋人同士に見えないかも。」

「えーっ,今練習するのかあ?無理だよぉ。」

「じゃあ,手を繋いでみましょうか。」

「へ…へへへ。」

「小龍さん,小龍って呼び捨てにしていい?」

「オッケー!」

「あ,わたし女の子だからもっと大人しくしなくてはいけませんね。」

「いや,今のままで良いよ!最高だよん。」

甘い会話に力を抜かれ,竜魔は木の上からぼたっと落ちてきた。

「お,竜魔。いたのか。」

「あら,竜魔さん。」

竜魔はため息と共に,彼らを見上げたが,霧風の姿を見ると,硬直した。

「う…★」

「竜魔さん,この間はすみませんでした。あれからあまりお話してくださらないので…。」

竜魔の目は点となり,霧風に釘付けとなっている。

…豊かなバスト,白い首,くびれたウエスト,嘘だ…。
細い女が和装する場合にタオルを巻いてから帯を通す…という話を昔聞いたことがある。それで分からなかったというのか?この細い腰…。
小龍はにこりと爽やかに笑うと竜魔に言う。

「じゃ,俺たちデートしてくるから。」

「何?でえと?」

「清純な異性交遊してくるって言ってるの!じゃな。」

「いせいこうゆう?って??」

小龍は霧風の手を引いて,るんるんと歩いて行った。
あっけに取られた竜魔が二人を見送っていた。


そして想像通りの展開が始まる。

「総帥!なんでよりによって小龍と二人で行かせたんですか!」

血相を変えて竜魔が詰め寄る。
総帥は落ち着き払って文庫サイズのまんがを復習して読んでいる。題名は「愛と誠」…。
このまんがから今回の仕事のヒントを得たらしい(どんな?)。これから乗り込む不良学園には霧風と小龍はぴったりだ,と彼は自分の頭脳のひらめきに満足していた。

「霧風は今,あんな状態ですよ!小龍は…小龍は…女好きですよ!」

「でも,霧風は男だろ。」

「…そ,そうですが。」

「小龍は男には興味ないだろ。」

「そ,そうですが…。」

お茶をすすりながら,総帥は畳み掛けた。

「じゃ,問題ないだろ。お前はそんなこと気にするな。…そうだ竜魔。」

「は?」

「早乙女愛って霧風に似てないか?」

「・・・・・・・・・・・・(誰だいそれ)。」
 

 

そろそろ終わらせようよ〜;


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